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ぼくが「銀」になったワケ〜あとがき〜

今回、この記事を書くのはとってもとっても勇気がいりました。
なんてことない「昔話」だとは思いますが、銀ちゃんがうちに来るまでの話は、正直、私の中では苦しい過去となってしまっていたからです。




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初めて銀ちゃんに会ったのは、引っ越してきた翌月。
右も左も解らない、知り合いさえもいない、そんな孤独な毎日を過ごしていたある日。
どうも近所で譲渡会を開いているというブログの記事を発見したからです。



ずっと、犬を飼いたいと思っていたんですが、ペットショップやブリーダーの現状を知り、また、ブリーダー崩壊による飼育放棄などを知ってから、私は里親になる事を選びました。
ただ、どうしても一歩足が出ない。
命を預かる事が自分に出来るのだろうかと、自問自答を繰り返しては諦める、という日々でした。



見るに見兼ねた旦那が、
「取り敢えず、譲渡会ってどんなんか見に行こうや」
と、背中を押してくれ、気持ちは沈んだままでしたが、会場に出向く事になりました。



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会場には、犬五匹、子猫二匹のみ。
でも、住宅展示場のイベントもあって、沢山の人だかりで賑わっていました。
私は、ケージに入れられた犬を見て愕然としました。
ブリーダー放棄で、精神的に不安定な子、事故で片足を失って捨てられた子、虐待にあって人間不信になっている子…。
助けてあげたい。でも、私にこの子を幸せに出来るんやろか?
もんもんとしていた時、奥のケージに小さな子猫がいるのが見えました。




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元気な白猫とは対照的な、ボーッとして一歩も動かず、何やら不機嫌そうな灰色の子猫。
青い目で、一点を見つめて、何を思っているのかサッパリ解らない。
そんな不思議な子猫から目が離せませんでした。


保護主さんと少しお話をし、その日は20組近く里親候補がいたので、厳正に考慮して連絡するとの話を頂きました。


きっと一週間程かかるだろうな、それまでに覚悟を決めようと思った私は、もうあの灰色の子猫と一緒に暮らす事しか考えていませんでした。
その日の夕方、保護主さんから
「にこしさんにお願いしようと考えています。」
と、電話があったのには本気で腰が抜けましたが、電話を切ってからはもう頭が真っ白で、終始にやけていたと思います。




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直ぐに迎える準備をし、本屋で猫のきもちの特別号を買い、ネットで知識を深め、ドキドキしながらお見合いの日を迎えました。


我が家に来た初めてのお客様。
保護主さん、娘さん、灰色の子猫、茶トラの子猫三匹…
びっくりしましたが、茶トラは当日に保護したばかりで、お留守番できないくらい小さかったので連れてこられたとか。
保護主さんは、保健所から子猫を少しでも救おうと個人で活動されていました。



娘さんは本当に可愛くて、灰色の子猫を見る眼差しがとても暖かかったのを覚えています。
本当は、灰色の子猫を自分が飼おうと思っていたくらい、気に入っていたそうです。
子猫も娘さんの後追いをして、見ていて可愛い反面、私でいいのだろうか…と不安になりました。




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銀ちゃんは、まだ目も明かないうちに、ビニール袋に兄弟まとめて入れられ、酸素が入らないくらいに袋の口を縛られてゴミのように捨てられていたそうです。
捨てられてそんなに時間が経っていなかったのが幸いして、二匹は健康状態でしたが、もう一匹は生死を彷徨う状態で病院に入院したそうです。
今ではとっても元気なイケメンにそだっています。
一度会う機会があったのですが、銀ちゃん以上にボーッとしたイケメンでした笑




最終的に、我が家に来る事になった銀ちゃん。
こんなに可愛いのに、ゴミのように捨てられた銀ちゃん。
お母さんの暖かさを知らない銀ちゃん。
そう考えると、涙が止まらず、私の膝で眠る銀ちゃんを見ては呪文のように、幸せにしたる!と言っていました。




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今はもう泣いていません。
だって、銀ちゃんは私の家族だから。
幸せに決まっているから。
甘えん坊の銀ちゃんが大好き。
ただ、呪文はまだ唱えています。




銀ちゃん、世界で一番愛してるって呪文。

by nikoshigin | 2012-07-27 01:03 | 昔話